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完璧
2013-12-02
戦国七雄(7大国)にも数えられた趙国に、「和氏の璧」(かしのへき)という宝玉がありました。
七雄随一の強国・秦の昭襄王は世に聞こえた宝物を手に入れるため、趙・恵文王に「15の城と交換してほしい」と持ち掛けます。
権謀に長けた秦が小国に匹敵する15もの城を譲るとは思えず、かといってただで宝物を差し出せば秦の属国になり下がるも同然。
また、申し出を断ったところで侵略の口実を与えかねません。
国家存亡の危機を迎えた趙王が、使者として秦に派遣したのが藺相如でした。
秦都・咸陽に入った藺相如は秦王に和氏の璧を渡しますが案の定、寵姫や群臣に自慢するばかりで城との交換の話になりません。
そこで藺相如は「実はここに傷が・・・」と璧に近付き奪い取るや「璧など、この場で叩き割ってくれる!」と憤慨。
慌てて城の話を始める秦王に宝物を受ける儀式として5日間、身を清めるように求め、自らは秦に身を置いて敵を欺きつつ璧を従者に持ち帰らせました。
璧を取り戻した趙王は悲喜こもごも、藺相如の国葬を準備して亡骸の帰りを待ちますが、そこは勇将・藺相如。
潔斎を済ませた秦王に「約束を守るつもりがないように見えたので璧は趙へ持ち帰りました。
秦王はどうぞ私に死罪を」と言ってのけ、その豪胆ぶりに感じ入った秦王は藺相如を不問に付して帰国させたのでした。
藺相如はついに「璧を完(まっと)うして帰る=璧をまったく損ねることなく持ち帰る」、後に「完璧」と称される使命を果たすに至ったのです。
現代では「完璧」や「完璧主義」というとチャレンジもリスクもなく、成果への一本道を歩むことしか許されていない状況を思い描く人も多いことでしょう。
しかし藺相如が完璧に辿り着いた道程には身を賭した挑戦があり、逆境から生まれた臨機応変な策略があり、さらには深い怒りや悲しみ、そして喜びがあったのです。
何かを完璧にやり遂げようと心に期すれば、瑕疵なく済ませなければと過重なプレッシャーを覚え、及び腰になることもあるやもしれません。
そんなとき「完璧」の祖である藺相如のストーリーが、次の一歩を踏み出せる勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
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