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特別受益について考える
2012-09-04
相続税法では、相続開始前3年以内に相続人が受けた贈与財産及び相続時精算課税制度の適用を受けたすべての贈与財産を相続財産に加算します。
生前に財産の承継者に対して財産を贈与することで、「相続発生時に誰が何を相続するか」についてもめることは少なくなる可能性があります。
その意味で、生前贈与により財産取得者を特定することは、遺産分割対策になります。
しかし、生前贈与は民法上の法定相続分に影響を及ぼすことはできません。
なぜなら、共同相続人が生前に贈与を受けた財産(特別受益額といいます)は、年数制限なく、すべて持戻しされて相続分を計算するからです。
この特別受益には、生計の資本としての贈与も含まれるため、自宅の購入資金の贈与や自社株式の贈与、結婚式の費用、高等教育の学資、海外留学の費用など、さまざまな資金援助が問題となります。
金額に目安があるわけではないため、実際の遺産分割の現場では、そもそも何が特別受益に該当するのかが争いの種になることも少なくありません。
特別受益をめぐる相続人間の不公平感による相続を避けるために、これまでの贈与や援助を考慮したうえで遺言書を作成し、財産の分割を明確にしておくとよいと思います。
ただし、遺言により被相続人が(民法第903条3項の)特別受益の持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合は、遺留分を侵害しない範囲であれば、その特別受益については持ち戻しをする必要はないと考えられています。
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