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岡山の税理士のウェブログ

「タキイ種苗」から学ぶ

2012-12-17

戦後の日本経済を急成長させた要因の中に「スピード」や「効率」がありました。

しかし今、日本経済が低迷を続けるのは、その揺り戻しによるものかもしれません。

多くの企業が方向転換に戸惑う中、創業177年の種子メーカー『タキイ種苗』は、時代の逆風を逃れて安定した経営を維持しています。

「桃太郎トマト」の種苗でその名を広く知られるタキイ種苗が野菜の種の国内トップシェアを誇るのは、手間を惜しまない「じっくり経営」を信条にしてきたからです。

種苗の品種開発は最低でも10年かかる地味な仕事で、定年までに新品種を発売できないこともあるそうです。

先輩から引き継いだ研究を後輩が深め、さらに次の世代にバトンタッチしていく。

こうして1人の社員を一人前にするまでには20年近くかかりますが、創業以来、社員をリストラしたことは一度もありません。

「社員をじっくり育ててこそ良い種ができる」と語る5代目の瀧井傳一社長の経営信条は「一粒万倍」です。

良い種からは万倍の収穫が得られるが、悪い種をまけばその損害は計り知れない。

だからこそ商品開発にも人材育成にもじっくり取り組み、本業以外に手を広げず、戦後は無借金経営を貫いていると言います。

日本中が「スピード」や「効率」を追求していた時代にあっても「じっくり経営」を徹底してきた企業が、先を急ぎすぎた揺り戻しの影響を受けないのは当然かもしれません。

タキイ種苗が「一粒万倍」の精神で植えつけてきたのは「信頼」です。

良い種から得た万倍の信頼をさらに強くするために、これからもじっくりと商売に取り組んでいくのでしょう。




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