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領収書の使い途(番外編)

2017-03-23

◆ 社会保険診療報酬の必要経費は概算経費率でOK

医院、歯科医院の事業所得を計算する場合、年間の社会保険診療報酬の額が5,000万円以下の場合には、租税特別措置法第26条の特例計算により、概算経費率を使って所得を計算することができます。

社会保険診療報酬が2,500 万円以下なら72%、2,500万円超3,000 万円以下なら70%+50 万円、3,000 万円超4,000 万円以下なら62%+290万円、4,000 万円超5,000 万円以下なら57%+490 万円が必要経費とみなされます。

もし収入が社会保険診療報酬だけ(=診断書作成料などがあるので自由診療報酬がゼロということは通常ありませんが、話を簡単にするためこの前提とします)で5,000万円以下であれば、経費の領収書がなくとも必要経費が計算されることになります。

◆ 概算経費率を使う開業医が領収書をもらう理由

じつはちょっと前まで、「自分は措置法26 条の特例計算で恵まれている」と公言している歯医者さんが、マメに領収書をもらっている行為が不思議でした。

話をしていて合点が行きました。

領収書をもらうことだけに意義があったのです。

この歯医者さんにとって、その領収書が所得税法上で必要経費(=収入金額を得るために直接要した費用の額)になろうがなるまいが構わなかったのです。

目的は、領収書を医院の経理担当者に渡して経費精算(=現金をもらう)できれば自分のお小遣いを減らさずに済むというところにありました。

概算経費率を使うので、この領収書があろうがなかろうが、納税額に違いはありません。

領収書をもらうのは節税目的だけではありません。

まさに番外編的な使い方ですね。

◆ 何でもかんでも領収書をもらう行為

領収書をマメにもらうことは悪いことではありません。

領収書を保管しておくと、何にお金を使ったのかを思い出せますし、無駄遣いの反省もできます。

事業用経費と家事費(=仕事に関係ない私的支払い)を峻別し、家事費を事業用経費に混入しなければ何の問題もありません。

ただ気を付けなければならないのは、私的な食事でも屋号で領収書をもらう行為です。

傍目から見てもスマートではないですからね。



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