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三省(さんせい)
2017-01-17
今回はゆく年くる年に際し、ふと我が身を振り返るような故事成語をご紹介いたしましょう。
「三省」という言葉を知る人は少なくないかもしれません。
教科書で習ったという方もいれば、「三省堂書店」の名で聞いたことがあるという方もいらっしゃることでしょう。
これは『論語』の「曾子曰く吾れ日に吾が身を三省す」から生まれた成語で、孔子の高弟・曾子(そうし)が「私は日に3回、自身を省みます」と語ったことから、一般的には「自分の行いを何度も反省する大切さ」を説いたものといわれています。
しかし、この言葉はそれだけでは終わりません。
むしろそのエッセンスは、後段にこそ表れているのです。
曾子は、続けてこのように述べています。
「人の為に謀(はか)りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝ふるか」と。
つまり「人のためを思い考える際に真心を込めて事に当たれただろうか、友人との交わりにおいて信に背くようなことはなかっただろうか、先生の教えを自ら身についていないにも関わらず人に伝えてはいなかっただろうか」。
ただ漫然と反省を促しているのではなく、具体的に何について「三省」すべきか、3つのポイントを提示しているのです。
まず忠誠・忠実の「忠」、相手のために自らが「誠実」たり得たかを顧みます。
さらに近しい者に対して「信義」を重んじることができたか、そして表層的な知識でいわゆる「受け売り」をしていないか、真の理解に至るまでの修練が足りていたかをあらためて自問します。
いずれも「あの時はこうすればよかった」というレベルの反省ではなく(もちろんそれも大切ではあるのですが)、人としての在り方から深省しているのです。
四半世紀ほど前に「反省だけならサルでもできる」なんてコマーシャルが流行しましたが、曾子の生きた約2500年前から人はそんな反省を繰り返してきたのかもしれません。
悲しくも大規模な企業不祥事が相次いだ2016年、いま日々のビジネスの現場でこそ、曾子の語る「三省」に学ぶところがあるのかもしれません。
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