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岡山の税理士のウェブログ

「沈黙」というコミュニケーション

2012-10-06

交渉事では、その場の主導権を握った側に有利な展開が望めます。

相手に圧倒的な好条件を提示できれば主導権を握るのは簡単ですが、ほとんどの場合、お互いのやりとりの中で相手の腹を探り、押したり引いたりしながらの駆け引きで話を進めていくものです。

では、交渉の最中に相手の反応が鈍いとき、または自分が言葉に詰まってしまったとき、あなたはどんな反応をしているでしょう。

大半の人は、焦るあまりにある間違いを犯しているようです。本来なら相手に口を開いてもらうべき場面で、自らが言葉を重ねてしまうという失敗です。

自分に主導権があるならまだしも、焦りから出る言葉は上滑りしがちで、言い訳じみて聞こえることもあります。

しゃべればしゃべるほどドツボにはまって交渉決裂、そんな経験はありませんか。

片や交渉の手練れは、そんなときこそあえて口を閉じたりします。

穏やかな表情で沈黙して落ち着いた態度を示すと、相手が「おや?」と思うことを心得ているのでしょう。

不思議なことに、説得したい立場の人が沈黙すると説得される側は妙に居心地が悪くなり、そのうち沈黙に耐えきれなくなって口を開きます。

それがわかっているので交渉に長けた人は沈黙を恐れません。

むしろ沈黙を利用して自分に有利な状況を作り出します。

「沈黙は金、雄弁は銀」。

これはイギリスの思想家、トーマス・カーライルの有名な言葉です。

一般的には、「雄弁であることは大切だが、沈黙の効果を心得ていることはさらに大切だ」という意味で知られています。

ところが、実は逆の意味だという人もいます。

古代ギリシャ、アテネの雄弁家デモステネスの言葉だとする説によれば、当時のギリシャは金よりも銀のほうに価値があったので、「沈黙が有効な場合もあるが、言葉による説得力には及ばない」と理解するのが正しいのだとか。

いずれにしても「沈黙」と「雄弁」は使いようなのでしょう。

場面に応じて使い分けができれば理想的ですが、相手の口を開かせようと思ったらポイントになるのは「沈黙」の使い方と言えそうです。

交渉の達人の中には、特に大事な話の前にあえて沈黙する人がいます。

沈黙とは単に黙ることではなく、要するに「間」です。

黙るというより「間」を演出するわけです。

自分で演出した沈黙なら焦ることはありません。

沈黙によって相手の注意を引きつけ、それから大事な話を切り出すことで自分の話に耳を傾けてもらう。

こうなったら「沈黙は金、雄弁も金」です。




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