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女絵師として生きた葛飾北斎の娘、栄の物語
2016-10-01
【書籍タイトル】眩(くらら)
【著者】朝井まかて
江戸時代後期に生きた浮世絵師・葛飾北斎の娘で絵師の栄(画号:応為)の半生を描いた小説です。
栄は北斎のもとで10代の頃から絵を描き、嫁いだあとも絵をやめられず離縁します。
母親の小言に頭を痛めたり、借金を重ねる甥を持て余したり、仕事仲間に心惹かれたり、父親の工房で職人たちと共に腕を振るう日々を過ごしながら、自分の絵の世界を模索する栄。
本書の読みどころは、描きたいものを描きたいように描くためにはどうしたらいいのか?と問い続ける栄の心の内です。
そして長年の努力が結実し、ついに本書の表紙にある代表作『吉原格子先之図』を完成させます。
仕事以外は何事も無頓着だったという北斎親子の変わり者ぶりもよく描かれていて面白いです。
「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。・・・己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す」(北斎)。
「いい絵を描こう、巧い絵を描こうってぇ自らの欲を振り捨てて、また挑む」(栄)。
会話はフィクションと分かっていながら、真摯な気持ちで絵に臨む2人の姿に胸を打たれました。
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