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沈魚落雁 閉月羞花(ちんぎょらくがん へいげつしゅうか)

2016-09-01

今回は中国史上、最も美しい故事成語をご紹介いたしましょう。

中国四大美人として名高い、西施(せいし)・王昭君(おうしょうくん)・貂蝉(ちょうせん)・楊貴妃(ようきひ)。

その美貌は、西施が川で洗濯をすれば魚は沈み隠れ、王昭君が旅をすれば天空の雁は羽ばたきを忘れ地に落ち、貂蝉が夜を迎えて物思いに耽れば月は雲裏に逃れ、楊貴妃が宮庭を歩けば花は恥じらいしぼむほど。

そんな逸話から「沈魚落雁 閉月羞花」は「麗人」を表すようになりました。

類する「傾城(けいせい)」も君主の寵愛を受け国(城)を滅ぼす(傾ける)までの美女のことを指しますが、春秋時代の呉越の戦いで呉王を惑わし滅亡に導いた西施、三国志で猛将・呂布(りょふ)を魅了し権力者・董卓(とうたく)を暗殺させた貂蝉、唐の玄宗皇帝を骨抜きにし大乱を招いた楊貴妃らは、いずれも文字通りの「傾城」といえるでしょう。

では、王昭君は?

時は前1世紀、漢朝は異民族国家・匈奴(きょうど)から「漢の女性を皇后に」と求められます。

皇帝は醜女を贈るべく宮女たちの似顔絵から一番見劣りのする女性を選ぶのですが、出立前に確かめればなんと絶世の美姫!

王昭君だけが絵師に賄賂を送らなかったためなのですが、皇帝が後悔するも後の祭り。

絶世の美姫は故郷を去り、逆境に耐えつつ、両国の安定と平和に尽力したのでした。

この顛末を単なる悲劇といってしまえばそれまでですが、重要な取引相手にまで偽りの品で済ませようとする姿勢や腐敗が横行し正確な情報が上がらないシステム、優れた人材でありながら清廉ゆえに外される組織などは、昨今の不祥事にも重なる気がしてなりません。

実は日本国内にも、王昭君の美しい姿を頂く場があります。

それは熊本城本丸御殿にある「昭君の間」です。

壁や襖に王昭君が描かれた理由には諸説ありますが、漢籍にも通じた加藤清正公のこと、幾多の苦難を乗り越え国の未来を切り拓いた「救国の女神」に城下の将来を託したのやもしれません。

落雁美人・王昭君の強く高き志は、二千年の時を超え、ビジネスにも、そして震災復興にも、大いなる力を与えてくれるのではないでしょうか。



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