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良薬は口に苦し(りょうやくはくちににがし)
2015-12-19
『論語』に収録されていない言行を集めたとされる『孔子家語』から皆様にも耳馴染みがありそうな(けれども耳に逆らいそうな?)故事成語をご紹介いたしましょう。
孔子曰く「良薬は口に苦くして病に利き、忠言は耳に逆らえど行いに利く」。
『孔子家語』(六本第十五)で述べられているこの言が、古くは『江戸いろはかるた』にも採られ、また現代に生きる我々も日常的に使っている「良薬は口に苦し、忠言は耳に逆らう」(よく効く薬が苦いように、身のためになる忠告は素直に受け入れにくい)の原典となっています。
ところで、この説話に後段があるのをご存じでしょうか。
孔子は続けて以下のように説いています。
「殷の湯王と周の武王は侃々諤々、正しいと思うことを堂々と主張し進言する者がいたからこそ栄え、夏の桀王と殷の紂王は唯々諾々、逆らうことなく言いなりになる者ばかりだったからこそ滅んでしまった。
王に諌める臣がおらず、父に諌める子がおらず、兄に諌める弟がおらず、士に諌める友がおらず、これまで過ちを犯さなかった者はいない」。
すなわち「だからこそ、王に落ち度があった時には臣が補い、父に落ち度があった時には子が補い、兄に落ち度があった時には弟が補い、自身に落ち度があった時には友が補う。
こうして亡国を招くような兆しも、家庭に正道を乱すような悪事もなくなり、父子・兄弟にも不和なく、交友が絶えることもなくなるのです」と。
つまり孔子はただ「耳が痛い忠告にこそ聞く耳を」と諭しているのではなく、悠久の古代史を紐解きながら「イエスマンだけの組織に未来はない」、言うなれば歴史が証明している「組織論」を展開しているのです。
普段何気なく口にしている故事成語も、その由来となった物語を読み返してみると新たな輝きを持つことがあるものです。
「良薬は口に苦し」もまた然り。
あなたの属する組織に、苦い「良薬」は存在しているでしょうか。
自身は組織の「良薬」足り得ていますか。
今一度、二千五百年の時を経て届いた「忠言」に耳を傾けてみませんか。
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