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役員の訴訟リスクに対応する保険~会社役員賠償責任保険の取扱い

2015-11-13

◆ 会社法における「役員の賠償責任」

会社法では「役員の賠償責任」として、①役員の会社に対する賠償責任、②役員等の第三者に対する賠償責任の規定を置くとともに、③株主が会社を代表して役員等の法的責任を追及する「株主代表訴訟」制度が定められています。

そのため、役員を被告とする訴訟は、①会社訴訟(原告:会社)、②第三者訴訟(原告:第三者)、③株主代表訴訟(原告:株主)の3タイプに分類することができます。

◆ 会社役員賠償責任保険(D&O保険)とは

これらのうち、②と③の訴訟リスクから役員を守る保険として「会社役員賠償責任保険」(D&O保険)があります。

D&O保険がカバーする範囲(勝訴の場合は争訟費、敗訴の場合は賠償金と争訟費)は、訴訟タイプ別に次のとおりになります。

・会社訴訟 
賠償受取/会社
保険金/役員勝訴→保険支払対象外(免責)、役員敗訴→保険支払対象外(免責)

・第三者訴訟
賠償受取/第三者
保険金/役員勝訴→(A)争訟費、役員敗訴→(A)賠償金争訟費

・株主代表訴訟
賠償受取/会社
保険金/役員勝訴→(A)争訟費、役員敗訴→(B)賠償金争訟費

Aの部分はD&O保険の普通保険約款契約、Bの部分はD&O保険の株主代表訴訟担保特約でカバーしている内容となります。

なぜ、このような保険の設計となっているかというと、株式代表訴訟の役員敗訴(B)の場合には、会社が賠償金受取人となり、会社と役員が利益相反関係となるからです。

そのため、(B)の保険料を会社に負担させることは難しいため、この部分は役員個人に負担させるように「特約」とし、他のリスク(A)を会社側で保険料負担する契約の形を採用したようです。

株主代表訴訟の役員勝訴の場合(A)には、正当事由なため、このような問題は生じません。

◆ D&O保険の法人税の取扱い

税務では、このような契約形態をなぞる形で、損金の取扱いが定められております。

① 基本契約(普通保険約款部分)の保険料(A)…損金算入
② 株主代表訴訟担保特約(特約部分)の保険料(B)…法人負担の場合は役員給与
(個別通達「会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い」)



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