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岡山の税理士のウェブログ

「良い嘘」は顧客との接着剤

2015-07-10

子どもの頃から「嘘はいけない!」と教えられてきましたが、私たちは毎日、嘘に囲まれています。

企業の偽装、政治家の虚言、テレビ番組のやらせ、そして個人的な嘘などなど。

人はなぜ嘘をつくのでしょうか。

嘘に関する科学的な研究は100年ほど前から始まっていたそうです。

まずはある実験をご紹介します。

文京学院大学の村井潤一郎教授は、若い男女24人に1週間分の日記をつけてもらいました。

記録したのは、「自分が嘘をついたとき」と「他人に嘘をつかれたと感じたとき」の内容です。

一般的な嘘はもちろん、「超カワイイ!」などと事実を誇張した場合も含めて記録してもらったそうです。

その結果、「自分が嘘をついた」回数は、男性が1日平均1.57回、女性は1.96回。

一方、「嘘をつかれたと感じた」回数は、男女とも1日平均0.36回。

この結果を村井教授は、「人は嘘をつき、その一方でつかれた嘘の多くを見逃しながら、円滑なコミュニケーションを営んでいるのでは」と分析していました。

オー・ヘンリーの有名な小説『最後の一葉』では、あの葉が落ちたら自分の命も終わると嘆く主人公のために老画家が壁に本物そっくりの葉を描き、それを見た主人公は奇跡的に回復します。

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』では、親子でユダヤ人捕虜収容所に入れられた主人公が我が子に言います。

「みんなで楽しいゲームをやっているんだよ」。

これは親として命がけでついた嘘でした。

人を傷つける嘘は「悪い嘘」ですが、人を助けたり慰めたり元気を与えたりする「良い嘘」もあります。

適度な「良い嘘」がコミュニケーションを円滑にしているという分析は、その通りでしょう。

「負けるが勝ち」ということわざは、まさに商売における「良い嘘」なのでは。

顧客と意見が合わないとき、実際には相手の言い分に納得していなくても、ひとまず自分が引いて「あなたの言うとおりですね」と顧客の言い分を通してあげることでその場が丸く収まります。

そして相手が落ち着いたところで、「こんなやり方もありますが、どうでしょう」などと提案してみると、案外すんなりと聞く耳を持ってくれるものです。

適度な「良い嘘」は顧客との接着剤です。

もちろん夫婦円満の接着剤としてもおおいにご活用ください。



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