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ピケティの資産課税とマイナンバーと富裕税

2015-06-29

◆ ピケティの提唱

ピケティの「21世紀の資本」は世界中で爆発的な売れ行きを示しています。

ピケティは、資産格差を拡大させないよう、累進的なグローバル資産課税を提唱しています。

個々人が持つ資産を全世界的に把握し、資産総額に応じて課税したうえで、税収を関係国間で配分するというものです。

◆ 資産課税への日本の制度化準備

わが国でも、資産総額への課税制度創設の準備は進んでいます。

今年の税制改正事項として、従来の「財産債務明細書」を改変し、国外国内を問わないもので、且つ「国外財産調書」と同じように運営する「財産債務調書」制度が創設されます。

懲役刑を含む罰則をもつ「国外財産調書」制度の施行に引きずられての見直しのようにも見えます。

◆ 罰則ナシでスタート

「財産債務調書」の新制度には、懲役刑を含むような罰則は設けられないようです。

提出を義務付けられる人のプライバシーの開示を強制するに等しい、財産と債務のオープン化は、100%完璧な申告も限りなく不可能であろうし、心理的には相当な抵抗が予想されるところだから、と思われます。

罰則がなくてもまともな申告が期待できるものでしょうか。

現行の「財産債務明細書」については、罰則がないため、提出義務があっても提出しない人が沢山おり、提出はするが形ばかりというものでも、これへの問合せは皆無です。

◆ まずはスタートで少しのフォロー

従来と違うのは、「財産債務調書」の信憑性を担保するための税務調査の制度を設ける、としているところです。

相続財産の事前調査のようになりそうです。

調査非協力には罰則があります。

でも、調査官が職権により「国外財産調書」や「財産債務調書」の書き換えをする職権更正というのはなさそうです。

◆ そしてマイナンバーが来年から

財産申告と施行真近いマイナンバー制度をかけあわせると、当面の狙いは、相続財産の捕捉もれへの対処であるとしても、その先に資産課税としての「富裕税」を見据えている、ことが透けてきます。

富裕税は、日本でも、戦後3年間実施されていましたが、フランスには今でもあります。

財産申告が富裕税の税額計算申告になるまでは、財産適正申告の実現は相当な困難事のように思えます。



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