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思いもよらぬ贈与税等の課税が!第三者割当は時価発行で!

2015-03-18

◆ 第三者割当増資は時価発行で!

会社が資本金を増やすことを『増資』といいます。

この『増資』の中でも新株主から金銭等の払込みを受けるものを『有償増資』といい、その新株主の募集範囲の違いから『公募』『株主割当』『第三者割当』の三種類に区別されます。

このうち『第三者割当』による増資を同族会社が行うときは、『時価』で発行しないと、思いもよらぬ贈与税等の課税が生じる場合があります。

課税の理由『株主価値の移転が生じる』なぜ『時価』でない場合に贈与税等が課税されるかというと、株主間で経済的価値が移転してしまうからです。

例えば1 株当たりの株価(ここでは時価純資産価額)@100 円で発行済株式総数20 株(株主A・Bが各10 株保有)の会社が、新株主C から時価の1/2 の@50 円で5 株の増資を引き受けたとしましょう(いわゆる『有利発行』)。

増資前@100円→ 増資@50円
株数/時価総額→ 株数/払込金額
A:10株/1,000円→ ―/―
B:10株/1,000円→ ―/―
C:―/― → 5株/250円
計:20株/2,000円→ 5株/250円

この増資が行われた後の1 株当たりの株価(時価純資産価額)は、(増資前2,000円+増資額250円)÷増資後株数25株=@90円となり株価が下がります。

A・B は何もしていないのに1 株当たりの株価が▲10円下がり、Cは@50円の支払で@90円の価値がある株式を取得している状況になります。

①増資後@90円→ ②移転前→ 移転分
株式/時価総額→ 時価総額→ ①-②
A:10株/900円→ 1,000円→ ▲100
B:10株/900円→ 1,000円→ ▲100
C:5株/450円→ 250円→ +200
計:25株/2,250円→ 2,250円→ 0

結果として、AとBから、それぞれCに100円の経済的価値が移転してしまうのです。

このCへの移転分200円((@90-@50)×5株)について、CがA・Bの親族である場合には、贈与税課税、親族以外である場合には、一時所得・給与所得等の課税対象となります。

この課税リスクは、①既存株主が平等に増資を引受けない場合、かつ②時価発行増資でない場合に起こります。

『第三者割当』の場合には、①は当然充たさないため、時価発行増資でなければ、課税リスクが避けられないことになります。




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